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2013年5月29日 (水)

嘆きを踊りに

 「あなたは私のために、嘆きを踊りに変えてくださいました。」 詩篇 30篇11節

先日の柔術稽古にプロのダンサーがきていて、ダンス指導があり、その日の体技はダンスを介在とした稽古となった。正直言って、稽古冒頭に今日はダンスを中心にやると、言われたときには、身の毛がよだつ心境となって、そのまま帰りたかったのだが、なかなか新しい発見に満ちた一日になった。

 相手を崩すのに、力を入れることはご法度であるが、力を抜くのは簡単そうで難しい。そこで、臍下に心を静めたり、何かをイメージして力点以外に意識を合わせる方策をとることになる。

 今回は、力を入れて崩すパターンと、踊ってから崩すパターンに取り組んだ。踊るといっても、本格的ではなくお恥ずかしい素人の舞いではあるが、それでも確実に力を入れて崩すことよりも簡単に相手を崩す結果になった。

 最初は恥ずかしさがあって、僕は相手の廻りをスキップしてから崩していた。最後の方は、ジュリアナやサタデーナイトフィーバーの乗りになったのだが...。

 合気上げのときは大きな体格の方と組んだが、力ではまったく歯が立たなかった。そこで舞台に立つサミー・デービスjrになりきったら、簡単に上げるきることができたのだ。しかし、一度成功するとそこに意識が居ついてしまい、硬い動作になってしまった。

 片手取で組んだ男性とは、ダンスよりも歌舞伎のみえを切ったほうが、カラダが自由になり、相手を崩せた。

 カラダだけ踊っていても、意識が踊っていなければ、技はきかない。カタチに頼ってはいけない! ココロを使わなければ!

バレリーナのようにダンスしているイメージ、ブロードウェイの舞台で演じているイメージ、それらのイメージを実際にカラダを使って表現することによって、意識が高揚してくる。その高揚感が、力まずに相手のカラダに不思議なインパクトを与えるのかもしれない。

 ......とここまで書いてから、ある考えが湧いてきた。

 「踊る」ということに関して、それは愛や無我、求道とは離れてた存在で、まあ遊戯とかオマケのようなものというイメージがあって、武道鍛錬のときにフワリフワリと踊るなどもってのほか! と決め付けていた自分ではあるが、本当にそうなのだろうか。

 踊ることは、人間の根源的な営みであり、神話をはじめ、宗教的世界とは密接な関係がある。

 「笛吹けど踊らず」は聖書マタイ伝の中で、手を尽くして働きかけても、人がそれに応じて動き出さないことのたとえとして有名な言葉である。

 また、 聖書詩編には、「あなたは私のために、嘆きを踊りに変えてくださいました。あなたは私の荒布を解き、喜びを私に着せてくださいました」とある。

 聖書の中の「踊り」とは、ただ現世の辛さを忘れて、浮かれてカラダを動かしましょうというような浅はかなものではなく、人間本来の感情である喜びや感謝を表現しているのではないだろうか。

 踊りを踊ったときのような高揚感や、幸福感、カタルシスといった意識を持ち続けられる人のことを、神の子というのだろうか。

 マザーテレサについては、悲哀の中の愛を生きた存在というようなイメージが強かったけれど、本当はもっと高揚感をもって生きてらっしゃったのではないかと思った。

 平常心、悟り、心身一如.....これらの言葉からは、抑制され、コントロールされた逞しい精神を想像してしまい、喜び、ワクワク感からは離れた境地だと思ってもきた。

 「汝の敵を愛せよ」「右の頬をぶたれたら、左の頬を出せ」....イエスの言葉も、その意味するところは、感情的にならずに静かに耐えよ、自己犠牲でいけよというような、少々ココロに負担がかかり、辛い生き方だとも思ってきた。

 そうではないのかもしれない!

  多分.....きっと....、マザーテレサは、辛苦の中を耐えて信仰に生きたのではなく、悦びに生きて、貧しき人たちを愛したのだ。その悦びとは、踊ったときのような高揚感であったのではないだろうか。

 だから、あの年齢にもかかわらず、両脇に倒れた病人を抱え、死を待つ人の家に連れて行くことができたマザーテレサの身体運用力は凄かったのかもしれない。

 僕が持ってきた偉大な宗教家たちに対する認識が揺らいできている。

 聖書、武道、ダンス....なんかアブナク怪しい響きではあるが、そこから与えられたヒントは大きい。浅はかで瞬間的な快を超えた、悦びによる高揚感の持続を、ひとつの目標にしてみたいと思ったのだった。

 

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