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2013年1月14日 (月)

兄貴と加藤諦三

 昨日は母を日帰り温泉につれていった。この一週間の疲れを癒し、気分転換を図ってもらおうということで、レンタカーで埼玉県野田市まで行ってきた。

 僕は入浴後、まだ女湯から出てこない母と奥さんを休憩室で待っている間に、加藤諦三氏の本を読んだ。さっと読みながら、違和感を覚えていた。息苦しくなってきた。

 加藤諦三氏は心理、生き方に関する著書を執筆しており、僕が中学生のときに兄貴が加藤諦三氏の本をむさぼるように読んでいたのを記憶している。加藤諦三氏に感銘した、救われたという人は多く、出版された本の数も膨大な量である。加藤諦三氏によって、自分の生き方や考え方に良い影響を与えられた方々が沢山いることは承知しつつも、僕は兄貴ほど心酔できなかった。

 約20年前に僕はまったく未知の組織に2年間派遣され、アウェイ状態であったが、なんとか打ち解けることができた。そこで出会った10歳位年下の職員から、加藤諦三氏の本を読んで感銘したと打ち明けられた。

 それは、はっきりと覚えていないのたが、嫌な人間とはつきあうことはない、離れているべきというような内容だった気がする。それに対して、僕はそんなに簡単に人を区別できるわけがないだろうし、相手がイヤだと思った途端に離れるというのは料簡が狭すぎると批判した。

 僕が中学生のときに特に影響を受けたのは、加藤諦三氏ではなく、大山倍達さん(高校受験面接時に尊敬する人物としてこたえて落とされた)、宮城まり子さん、そして淀川長治さんだ。特に淀川さんからは人生の三つのスローガンを教わった。 

 welcome trouble 苦労歓迎

 welcome strenger 他人歓迎

 I never met a man, I didn't like 私はまだ嫌いな人に会ったことがない

 そのスローガンが僕の中では大きな位置を占めており、「嫌な人間だったらつきあうな、離れろ!」ということを緊急避難的に必要ならば仕方がないが、人生の指針とするのにはいささか抵抗を感じたのだった。

 話を現在に戻そう。亡くなった兄貴は、子どものときの母との関係が自分に影響を与えていると、よく口にしていた。それは僕自身も親の影響を受けているし、誰しもがそうだろう。しかし、兄貴の場合は、年齢を重ねても、その呪縛から離れていないような印象があった。

 昨日さっと読んだ加藤氏の本には、自分が悩み苦しむのは親の影響によるものと断定的に書かれているようだった。そのことが気になり、今日は東京は雪が降っていたが、図書館まで行って加藤氏の本を2冊借りてきた。読み始めたら、上から目線で、誰かのせいにして(主に親)、解決方法がはっきりしてない文章に、気が重たくなってしまった。窓の外を見たら雪が積もっていた。

Cimg2197

 正直言って、兄貴は両親を含めた近親者たちとの接触を避けていたように思う。毎年正月になると兄貴の娘一家たちが母の実家に集まり、僕も参加しているのたが、長い間顔を出すことはなかった。2年くらいの間に、近親者と会わない時期もあった。

 人当たりがよくて、優しいと言われていた兄貴は、いったい何を避け、何から逃げていたのだろう。加山雄三と加藤諦三が好きで真面目に振舞っていた兄貴の胸中は、もっと複雑で、叫び続けていたのではないか。そして、その姿を人に知られることを怖れていたのではないか。

 兄貴が眠っていた御棺の中には、加藤諦三氏の本3冊が入れられた。そのことが僕の頭から離れずにいる。兄貴は加藤諦三氏によって救われた面があっただろうし、逆に引きづられ過ぎてしまった面もあったのだと思う。

 来月の49日法要が終われば、兄貴はこの世を去った存在として、仏壇の中に入る。不謹慎かもしれないが、こうして、僕が兄貴と多大な影響を受けた加藤諦三氏のことを考え、整理しているのは、僕の中には兄貴と同じ部分があるからだ。

 僕は兄貴と共通する葛藤、自己憐憫、疎外感、そして希望、人間としての郷愁を抱きながら、この世を生き抜いていこうと改めて思ったのだ。それが兄貴への供養になるのだと信じながら。

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コメント

炭粉先生、ありがとうございます。
須磨の浦というところは、歴史と文化がある魅力的なまちなのですね。お酒が美味しそうです。

合気閑話の「予定調和の功罪」を拝読いたしました。
まさかの掟破りの予定調和の結果でした! ぜひともお写真の掲載を期待します!!
それにしても、この予定調和の道筋は、先生を何処に導こうとしているのでしょうね。

投稿: | 2013年1月14日 (月) 20時15分

善哉!
解り過ぎるが故に、解らない。
だが、解っている。
素晴らしい兄弟です。

神戸の誇り淀川さんの御高評、ごっつぁんです!
須磨の浦で呑みながら一筆。

投稿: 良三 | 2013年1月14日 (月) 18時08分

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