« ポジティヴは統合しパワフルになる力 | トップページ | 街場の建築論 »

2011年7月 9日 (土)

選択の科学

9784163733500 全盲のコロンビア大学教授シーナ・アイエンガの「選択の科学」を読む。 

 以前、ビートたけしの「世界の天才が日本を救う」という番組の中で教授が、少子晩婚化対策としてお見合いの復活を提案していて、なるほどそうきたか!と思わず膝を打ってしまった覚えがある。 

 「選択は本能である」.....恵まれた環境にある動物園の動物が、野生動物よりも寿命が短い。たとえば野生のアフリカ象の寿命は56歳だが、動物園のそれは17歳という。動物園の動物には、過剰な毛づくろいや、意味もない往復運動などの神経症状をみせる動物が多いがその理由は、野生のときのような、「選択」ができないことに起因している。 

 英国の20歳から64歳の公務員男性1万人を追跡調査した結果は、職業階層が高ければ高いほど、寿命は長かった。これらは、職業階層の高さと仕事に対する自己決定権の度合いが直接相関していたことに理由があった。老人ホームでも、観葉植物や映画などの、選択の自由度が高いグループの方が、長生きしたらしい。 

 この本には、選択できる自由が人生をつくっていく。だから選択することの大切さを認識し、本当に必要な選択をしていこうという当たり前のようだけど、普段は意識しないことについて、科学的検証や、歴史文化的な視点と、ユーモアをもとに書かれている。

 面白かったのは、商品の選択肢が大きいほうが、売り上げも伸びると思えるが、アイエンガー教授が行なった有名な実験では 24種類のジャムを売り場に並べたときよりも、6種類のジャムを売り場に並べたときの方が、10倍の売り上げがあったらしい。  

 結婚も、自分が伴侶をみつけるのが、当たり前のようだが、世界では親族や、年長者たちが、結婚相手を強制的?に決める風習文化が存在している(かつての日本も...)。それは人権無視で、人生を悲惨にするような習慣かというと、そうとはいいきれないところがある。恋愛結婚したカップルは最初の高揚感、幸福感は10年後にはかなり減少するが、見合いや許婚では、逆に年数を経るほど高いパーセンテージとなる。

 選択肢が極端に限定されることは、生命や、幸福を奪ってしまうが、選択肢が多すぎるのも適格な判断ができなくなったり、混乱したりすることになる。 

 この本を読み終えて、現在の原発情報が多すぎて、混乱している現実の日本を思い浮かべてしまった。政府サイドの安全ですよというメッセージと、チェルノブイリを引き合いに出したりして、危険だと主張する週刊誌や、評論家たちの間に、国民はどっちが正しいのかと揺れている。 

 きちんとした情報提供を求めるのは当たり前だが、それを待っているという選択のほかに、それを求めても現実は無理であり、その状況の中で国外や、九州に逃げるのか、或いはリスクを自覚しつつ通常通りの生活を維持していくか、選択の範囲は無限大になる。

 ただし、ジャムの実験のように選択肢が拡大しては、決断ができないという状況にも陥りやすい。だから、私は、この東京で、少々節電に気を配りつつ、いつもどおりの生活をして、自分と周りの人たちと愉しんで生きていこうと思っている。 

 テレビで太田光が、放射線量に神経質になっている風潮に対して、国ははっきり大丈夫だといえ、ぶれるから不安を煽るんだと怒っていた。俺たちの年代はチクロとか、サッカリンとか、排気ガスとかで、危ないと言われてきたが、こうして元気なんだと。 

 昨夜、一緒に飲んだアラ60の方々は、中国は1964-1996年に46回も核実験を行なっており、自分らは相当の放射線量を浴びてきているはずだとおっしゃっていた。

 政府は、枝葉の数値や安全を発表しているだけではなく、幹の部分で「絶対大丈夫」というべきなのかもしれない。今のところとか、思われますとか、専門家の意見では...という責任を問われないための守備ガチガチの発表をしても、国民が納得するとは思っていないはずであるが....。政府の選択範囲が、狭隘な範囲に集中している結果なのだろうか。  

 今の日本を立て直すための選択は何か......。ついつい考えてしまうテーマだ。

5170vyp7ral__sl160_
 「私がクマにキレた理由」。これはとっても面白い。 

 大学を出て、企業に就職しないで、セレブのナニー(子守り)となった女性のはなしだけど、邦題のダサさとは、比べ物にならないくらい、惹き込まれる。

 

 

 

|

« ポジティヴは統合しパワフルになる力 | トップページ | 街場の建築論 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/531400/52161538

この記事へのトラックバック一覧です: 選択の科学:

« ポジティヴは統合しパワフルになる力 | トップページ | 街場の建築論 »